2010年9月15日

猿払事件

鬼志別郵便局

国家公務員法102条1項および人事院規則によって公務員に禁止されている政治的行為も多かれ少なかれ政治的意見の表明を内包する行為であるから、もしそのような行為が国民一般に対して禁止されるのであれば、憲法違反の問題が生ずる。猿払事件、最大判昭和49年11月6日。

国家公務員法102条1項および人事院規則による公務員に対する政治的行為の禁止が、憲法上許容されるか否かを判断するにあたっては、禁止の目的、この目的と禁止される政治的行為との合理的関連性、政治的行為を禁止することにより得られる利益と禁止することにより失われる利益との均衡の三点から検討することが、必要である。猿払事件、最大判昭和49年11月6日。

一般人の筆記行為の自由について、それが、さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、憲法21条の規定の精神に照らして十分尊重に値するが、表現の自由そのものとは異なるため、その制限や禁止に対し、表現の自由の場合と同等の厳格な基準は要求されない。

報道機関の報道行為は,民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものであるから、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、表現の自由を想定した憲法21条の保障のもとにある。

報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道のための取材行為も、憲法21条の規定の趣旨に照らし、十分尊重に値するから、報道の公共性や取材の自由への配慮から、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷においてメモを取ることを許可することも、合理性を欠く措置とはいえない。