2010年9月17日

株式会社の定款

会社設立時に株式会社が発行する株式数は、会社法上の公開会社の場合には、発行可能株式総数の4分の1を下ることができないため、定款作成時に発行可能株式総数を定めておかなければならないが、会社法上の公開会社でない会社の場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。発行株式数について制限がなく、発行可能株式総数の定めを置かなくてよい。
会社法37条(発行可能株式総数の定め等)
1 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。 
会社法37条3項
設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。 

株式会社は株券を発行するか否かを定款で定めることができるが、会社法は、株券を発行しないことを原則としているので、株券を発行する旨を定款に定めた会社であっても、公開会社でない株券発行会社会社は、株主から株券の発行を請求された段階で初めて株券を発行すれば足りる。
ただし、公開会社においては、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。
会社法214条
株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。
会社法215条(株券の発行)
4 前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。

株主総会は株主議決権を行使するための重要な機会であるため、本人が議決権を行使する場合のほか、代理人による議決権行使の機会が保障されている(会社法310条)が、会社法上の公開会社であっても、当該代理人の資格を株主に制限する旨を定款に定めることができる。最判昭43年11月1日。

取締役会は、取締役が相互の協議や意見交換を通じて意思決定を行う場であるため、本来は現実の会議を開くことが必要であるが、定款の定めにより、取締役の全員が書面により提案に同意した場合には、これに異議を唱える者は他にありえないため、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなすことができる。ただし、監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときは、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができない。

取締役会設置会社は監査役を選任しなければならないが、会社法上の公開会社でない取締役会設置会社の場合(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)には、会計監査人設置会社であっても、定款で、監査役の監査権限を会計監査に限定することができる。